ETC明細が示した「その日」の嘘

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それからしばらくは誰にも相談できずに悶々とした日々を送っていました。
まともな精神状態でいられない私を支えてくれたのは、高校時代の友人たちでした。

彼らとは定期的に集まっていて、当時は土曜の朝に格安のゴルフ練習場で会うのが恒例でした。

ある日、ついに私は妻の不可解な行動について打ち明けました。
話を聞いてくれた友人たちは、「それ、絶対怪しいって」と満場一致。
でも、それ以上の進展があるわけではなく、「尾行してみようぜ」なんて冗談を言い合うだけでした。

その頃は、友人のうちの何人かは子どもを持つようになった時期だったので、ひとり異次元の悩みで苦しんでいる自分が情けなく惨めな気持ちになりました。
それでも、バカ話の中で笑う時間があったからこそ、心の均衡を保てていたのだと思います。
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そしてついに「その日」がやってきました。
その日、私は自宅の妻のデスクの上にあった一枚の紙に目を留めました。
それは、ETCカードの利用明細でした。

妻の使っていた社有車にはETC車載器がついており、業務で使う際にはカードは申請制で貸与されます。
しかしその明細は妻個人のカードのものでした。

もしかしたら何かわかるかもしれない。

そう思って中身を確認すると、以下のような履歴がありました:

• 7月×日 地元IC →隣県A IC 
• 7月×日 隣県A IC →隣県B IC 
• 7月×日 隣県B IC →地元IC OUT

同じ日に隣県のICまで行き、高速に乗ったり下りたりを繰り返してる。なんだろ。

あ。この日付…土曜日だ

――この日は何をしていたことになっていたんだっけ?

スマホの写真やLINEの履歴を確認しました。
私はこの日、友人とイベントに出かけていました。
そして、確か妻はこの日、、、、、

「休日出勤」と言って家を出ていた日です。
同じ会社にいた経験から、休日出勤で出張することはまずあり得ません。
また、ETC明細が示すエリアに私の知る限り取引先もありません。

…にもかかわらず、数時間かけて隣県にドライブし、帰りに一度高速を降りて、数時間後にまた高速に乗って地元に戻って来ている。

(これはもう、黒だろ。。。)

観光地のパンフレット、
全開にずらした助手席のシート、
深夜帰宅の増加……
点と点がすべてつながった感覚を持った瞬間でした。



このとき、私の中でこれまでの積りに積もった疑念が「確信」に変わりました。
疑いは怒りに変わり、静かに心が決まっていったのを覚えています。

そして、私は自分を取り戻すべく、行動に移す決断をしました――。

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